地元暮らしをちょっぴり楽しくするようなオリジナル情報なら、川崎市高津区の地域情報サイト「まいぷれ」!
文字サイズ文字を小さくする文字を大きくする

川崎市高津区の地域情報サイト「まいぷれ」

Cute Movies

17歳のカルテ

監督:ジェームズ・マンゴールド

作家スザンナ・ケイセンの自伝を人気女優ウィノナ・ライダーが製作総指揮・主演で映画化した。原題は「Girl,Interrupted」。直訳すれば、「さえぎられた少女」というところか。
多量の薬を飲み、自殺を計ったスザンナは精神病院で2年間を過ごした。外の社会から隔離され、普通の生活をすることをさえぎられた少女たち。その生活の中で、自分自身を見つめ、社会を見つめ、戸惑いもがく彼女たちの姿に胸が痛んだ。
精神病院を舞台に繰り広げられるこの物語に強く映し出されるのは、精神病という病を持った少女たちの特異さではなく、だれもが生きていれば幾度か抱えるであろう不安や苦悩の思いに揺れる少女たちの多感さやもろさである。
――――― 上手くやれない、社会と上手く折り合いをつけられない自分への不安や鬱屈。どうにもならないつらいことがあった時のやりきれない思い。
わたしたちの生きる社会は時に残酷にわたしたちを傷つける。まだ若く未熟な少女たちは、抱えきれない思いをどうしたらよいのかわからないだけなのだ。
ウィ
ノナ扮するスザンナが病院の中で知り合う過激な少女を演じたアンジェリーナ・ジョリーは、この映画でアカデミー助演女優賞を獲得した。彼女の美しくどこか
エキセントリックな容姿は、「激しさ」と「弱さ」という一見相反した要素を併せ持つその役柄にぴったりという感じだった。主人公のウィノナ・ライダーもな
んだかよかった。
ただ、テレビや雑誌をよく見るせいか、わたしにはどうしてもこの二人に対してハリウッドスターとしてのイメージが強く残ってしま
い、映画を見ている途中でも「あ、これがスターの名演という感じなのだろう」などとどこか客観的になってしまうことがあった。看護婦役のウーピー・ゴール
ドバーグなんかもそうで、「スターが演技している」という感覚が消えず、どうしても役よりもスターとしてのイメージを追ってしまった。邪念に少々映画鑑賞
を邪魔されてしまった感じである。
これからだんだんと涼しくなってくるこの季節。物思いにふけるのには丁度よい。地味かもしれないが、どこか心に引っかかるこの作品を観るにはいい季節だろう。

text by...  RS

2000/10/01