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Cute Movies

金色の嘘

監督:ジェイムズ・アイヴォリー

新年第1本目は、ユマ・サーマンのデラックスな美貌に酔いしれましょう。

20世紀初頭のイギリス。
アメリカ人で億万長者の美術収集家アダム・ヴァーヴァー(ニック・ノルティ)の
一人娘マギー(ケイト・ベッキンセール)は、
ローマの没落貴族アメリーゴ伯爵(ジェレミー・ノーザム)と結婚。
だがマギーは、夫となる伯爵が
マギーの親友でアメリカ人のシャーロット(ユマ・サーマン)の
かつての恋人だった。

親友の夫となってしまっても なお忘れることが出来ず、
そばにいたいがために シャーロットは
アダム・ヴァーヴァーの求婚を受け入れてしまう。

善良な父娘を傷つけたくないと 嘘をつきながらも、
あらがいがたい情熱にひたすら身をまかせるシャーロット。
夫と親友の関係に気づきつつ、だまされているふりをして家庭を守るマギー。
ひとつ屋根の下でだましあう女性2人の気持ちに、
観ているこちらの気持ちがヒリヒリしてくるようだ。

この映画の舞台となっているイギリス エドワード朝の時代は、
1901~1910までのわずかな期間で終わったが、
イギリス史上まれにみる優雅で華麗で快活な時代といわれている。
おしゃれをした女性たちが舞踏会や催し物に繰り出すという、
女性解放の時代の始まりでもあり、更にこの少し後には
ココ・シャネルが現代的なファッションで、
女性をコルセットや長いスカートから解放していくのである。

そんな時代のファッションやアクセサリーの美しさにウットリしつつ、
女性は財産にすがらなければ生きていけないという、
社会の仕組みを考えさせられる。

「アメリカ人のヨーロッパとの出会い」をテーマにいくつもの小説を残した
ヘンリー・ジェイムズは、ニューヨークに生まれ30代でヨーロッパに移住、
ロンドンに定住した作家。
この時代の小説「鳩の翼」や「眺めのいい部屋」など映画化された作品も多い。
エドワード朝を描かせたら、右に出るものはいないといわれる
ジェイムズ・アイヴォリー監督もまた、カリフォルニア生まれのアメリカ人であり、
ヘンリー・ジェイムズの作品に描かずに入られない何かを見出しているのだろうと思う。

原作の題名“金の盃”は、結婚前の2人の関係を5年後に暴く美しい美術品。
ひびが入っているのが、シャーロットとアメリーゴの危うい関係を象徴しているように思える。

text by...  ris

2001/11/30